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最低賃金改定の影響や、知っておきたい情報集!
厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会で議論される最低賃金の引き上げ審議。毎年、7月末かお盆前くらいに答申が発表され、10月1日前後から各都道府県で執行されます。8月9日に発表した2019年度の都道府県別最低賃金(時給)では、全国平均で前年度比27円上昇の901円となりました。そして、今回の引き上げで都道府県別の最高額は東京都の1013円!神奈川県と共に初の1000円台に乗せました!ここでは、最低賃金に関する知識や、改定された際の影響や知っておきたい情報などをまとめていきます。
【最低賃金の基礎知識】
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定める制度の事ですが、その種類はふたつに分かれています。(意外と知らない方も多いのではないでしょうか?)ひとつはそれぞれの都道府県で定められている『地域別最低賃金』です。これは正社員や派遣社員、アルバイトなどの雇用形態にかかわらず、すべての労働者に適用されます。
もうひとつは『特定(産業別)最低賃金』と呼ばれるものです。
こちらは特定の産業での労働者が対象になっており、地域や産業の詳細は厚生労働省のホームページで確認できます。(今回は主に、地域別最低賃金に関して書いていきます。)
≪ちょっと詳しく≫
●雇用主と従業員が合意の上で最低賃金以下の労働契約を結んでも、最低賃金制度のもとでは無効となりますが、各都道府県の労働局長の許可を得ることで最低賃金が減額されることもあります。特例として対象となるのは、「試用期間中の従業員」「精神または身体障がいの影響で労働能力が低い従業員」などです。※最低賃金減額の特例許可を受けるには、許可申請書の作成と提出が必要です。
●「地域別最低賃金」に満たない賃金しか支払わない場合には、罰則として50万円以下の罰金が定められています。(「特定(産業別)最低賃金」未満の賃金しか支払わない場合には、罰則として30万円以下の罰金となります。)
●外国人労働者の場合も日本国内で就労する限りすべての労働法規が当てはまります。
【最低賃金全国一覧】あなたの住む街はいくら?
ランキング上位は5大都市や首都圏に集中!都道府県別の最高額は東京の1013円で、神奈川と共に初の1000円台に乗せました。一方、ランキング下位は九州や東北など日本列島の両端に集中している印象です。最低額は鹿児島など15県が790円で並びました。※新賃金は10月から順次適用されます。
【ちょっと役立つ情報①】最低賃金額以上に設定できているかどう確認したらいい?
最低賃金引き上げの際に注意しないといけないのは「気づかないうちに最低賃金が引き上げられていて、法律違反をしてしまっていた」というケースです。
最低賃金を下回る賃金しか支払わない雇用主には、罰則として50万円以下の罰金が課せられます。(特定(産業別)最低賃金未満であれば30万円以下の罰金)
さらに…「最低賃金以下の待遇で従業員が働かされている」というマイナスイメージが一度でも付くと、労働者はもちろん取引先などからの信用も失いかねません。
最低賃金は時給で表されるため、時給で賃金を支払っている企業は最低賃金との比較がしやすいですが、日給と月給の場合はちょっとした計算が必要です。
◆ 時間給制の場合
時間給≧最低賃金額(時間額)
◆ 日給制の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、
日給≧最低賃金額(日額)
◆ 月給制の場合
月給÷1か月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
【ちょっと役立つ情報②】どんな影響があるの?
①様々な格差の解消
アルバイトや派遣社員など非正規労働者の手取りが増え、正規と非正規の格差が解消されます。また、賃金引き上げにより地域経済の活性化や高収入を求めて優秀な人材が首都圏に流出してしまうといった事態を回避できます。
②人件費の増大
最低賃金の改定は主に企業にとってのデメリットも生みます。 最低賃金が上がれば人件費が増えるため、特に非正規労働者を最低賃金で多く雇用している飲食店やコンビニチェーン店などへの影響は無視できないものがあります。
【ちょっと役立つ情報③】主要都道府県別・地域別最低賃金の引き上げ額まとめ
前年度、最低額だった鹿児島県は29円と全国最大の上げ幅を記録しました。最高額と最低額の差は前年度比1円減の223円に縮まって、2003年度以来16年ぶりに格差が縮小する結果となっています。
上げ幅が厚労省の中央最低賃金審議会が示した目安を上回ったのは19県。その中で、鹿児島県は目安では26円の引き上げでしたが、独自に3円上積みしました。
最低賃金の改定では、厚労省の中央最賃審議会が所得や物価などを基に、都道府県をA~Dの4ランクに分類し、毎年夏にランクごとの目安を決定。これを受けて各都道府県の審議会が議論し、具体的な水準を決めます。2019年度の引き上げの目安は東京や神奈川などAが28円、Bは27円、CとDは26円と、賃金が高いAランクの都府県で上げ幅が大きいです。
ただ、低賃金が地方の貧困や人口流出につながるとの危機感は強く、鹿児島などDランク16県のうち、目安通りの引き上げにとどめたのは3県のみでした。
【最後に】
働き方改革実行計画では、全国加重平均の最低賃金時給1000円を目指しており、全国加重平均901円の現状をみても、このスピード感でしばらくは持続していきそうです。
「知らなかった…」「気づいたら違反していて、罰金を請求されていた…」なんてことにならないとも限りません!
ご覧頂いている皆様におかれましては、既に引き上げ後の金額について確認済みであるという方がほとんどかと思いますが、万が一まだの方がいらっしゃいましたら、「地域別最低賃金」の改定額について、今一度、自社・自店の状況と照らし合わせてみてください。
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